朝位 真士
一、旧約において「信じる」に当たる動詞は「確かなもの、堅固なものにする」という意味である。祈りの最後に用いられる「アーメン」も関連する用語である。神への信仰とは、神を確かなものとすること、すなわち、信頼に値する方としての神に信頼するということである。たとえば、創世記一五・六に語られるアブラハムの信仰とは、神の真実(確かな事)に信頼を寄せることであった。このように信仰とは神の確かさへの信頼であるがゆえに、信じないものは動揺せざるを得ない(イザ七・一~九)。
二、新約における信仰の中心はイエス・キリストを信じる信仰である。それは、イエス・キリストにおいて救いの業をなされた神への信頼であると同時に、イエス自身への信頼をも含んでいる。たとえば、福音書に記録されているイエスの癒やしの記事において、求めてくる者はイエスへの信仰(信頼)をもって彼に接近する(マタ八・