目的のある人生
朝位 真士
「あなたがたが食べるにしろ飲むにしろ、何をするにしても、すべて神の栄光を現すためにしなさい。」(Ⅰコリ10:31)
人間の人間らしい生き方とは、確かな人生の目的をもって生きることです。自分の人生が生産的な方向に向かっているか、滅亡に向かって歩いているか分かります。私たちは本当の人生の目的を持たなければなりません。
まず、人生の目的の条件の第一は、魂を満足させる人格的なもの――人間は欲望の存在です。食欲、性欲、名誉欲などさまざまな欲望の満足を求めて生きています。しかし、これらの欲望を充足させるだけでは、人間は決して満足できません。何故なら、人間は魂をもつ人格的存在だからです。
第二は、無限の欲求を満たす永遠的なもの――人間の魂の欲求は無限です。人間の魂は、永遠なるものを求めています。愛においても、善においても、自由においても永遠なるものを求めています。しかし、人間は無限を求めながら、有限を自覚しています。ここに神に背いた罪の結果である死の問題があります。真の人生の目的はこの死の壁を打ち破る力をもった永遠的なものでなければなりません。
第三は、心と心を結ぶ共感を得るもの――人生の目的は、人と人とを結びつける普遍的なものであるべきです。人間は、自我の満足だけでは幸福になれません。心と心の結びつき、すべての人たちの心に通じる共有の真理があってはじめて、人間は満足します。三重苦の試練の中で生き抜いたヘレン・ケラー女史は「人間にとってもっとも悲惨なのは心の世界がないことだ」と記し、最大の苦痛は「わからない」ことではなく、「わからせることができない」ことだと、自伝で語っています。真の愛、この愛の支配こそ、人間が求めている目的です。神の栄光こそが、神の愛こそが、私たちのあらゆる欲求に本当の満足を与えてくれるものだということです。キリストご自身こそ神の栄光です。キリストを信じ、愛して生きることが、神の栄光を目的とする人生です。