朝位 真士
序
今日はローマ8・18~30節を通して聖書を学んで行きましょう。最近地球の温暖化で太平洋上の島国が海面下に沈んで行くという現象も起こっています。人間が自分達だけの快適な生活を求め、また産業を発展させ、環境破壊が地峡の生活を危機に陥れています。生態系の危機であります。これまでの経済を考える人間中心の考え方から、自然環境に関心を広げ、「自然」にやさしい、人間以外の動植物や地球全体と共存する生き方が求められています。パウロはローマ8・19節から22節において、人間と世界が運命共同体として生きており、人間が罪と滅びから解放される日まで、自然や生命もまた、呻きながら、完成の日を待っていると教えています。
本
聖書を見て下さい。8・18~25節ここでは栄光の道が語っています。キリストにあって、悪の力に対する苦闘を続ける事は、楽なことではない。しかし、神は、キリスト者が、そのような行き方を続ける事によって、ついには、神との交わりの深さ高さ広さに達することを約束されたのであります。今のこの時に苦しみとやがてわたしたちに現わされようとする栄光との間には、比較にならないほどの大差がある。パウロはここで、被造物全体の秘密をつげるのである。被造物全体は、人間をめぐって、相互に関連している。人間が神との関係の破れの中にいる限り、造られたものはみなその破れの中にいる。
しかし、パウロは、現実から目を離してはいない。被造物全体が、今に至るまで、共にうめき共にうめき共に産みの苦しみを続けているというのである。神の勝利の歌は、「うめきのシンフォニー」のつづきである。苦難なくして栄冠はない。キリストの中にある呻きこそ、栄光へ通じている。キリストにある呻きは、絶望の呻きではある。確かな根拠にたっている呻きである。その根拠は御霊の最初の実をもっているということである。聖霊の与えられる約束をイエスが与えられたことはヨハネ福音書によって、明らかであるが、パウロにとって聖霊が与えられ、それによって、驚くべきことが、つぎつぎと、あらわれてきたことが重大である。聖霊は、御父と、御子とより出で、御父と御子とともに、創造し、いのちを与えたもうたのである。従って、聖霊の働きのあるところ、そこに、具体的な現象があるのである。全人類、全被造物に、個別的にそれぞれの身分の変化を実現させるおかたこそ聖霊なる神である。このような三一の神のみわざこそ、わたしたちが、忍耐して待望する心のよりどころである。
8・26~27節を見て下さい。ここでは聖霊のとりなしが語られています。キリスト者の弱さは、現実の問題に直面して、正しい方向をとらええないという点である。この弱さを助けてくださるのが、聖霊である。キリストは、聖霊のことを助け手と呼ばれた。それは弁護者という意味である。キリスト者の弱さをしりつくしたうえに適切な支えを与える御方であるというのである。しかも、聖霊は、言葉にあえあわせない切なる呻きをもって、キリスト者に代わって、祈って下さるのである。8・28~30節を見て下さい。ここに選びの奥義が語られています。
結び
ここに神の恵みの選びが語れています。パウロはローマ8・17節において、キリストの救いを与えられたものが、神の子であり、神の国の相続人であることを語りました。そして、18~27節にかけて、最初の人類の堕罪によって、死と滅びの呻きの中にある人間と世界に神が聖霊を送って共に苦しむことによって救いの道が開けたことを教えました。
今日のところは、その結果で、人間を救う為に神恩寵の選びが語られています。8・28をもう1度見て下さい。「神を愛する」のは、神の愛を受けてそれに応える姿であります。パウロは、イエス・キリストの十字架と復活によって、人間を救う神の愛が溢れるばかり注がれたとき、人間はその愛を神に返し、「神を愛する者たち」とされたのであります。パウロはこれを「ご計画に従って召された者たち」と言い換えています。ここに「神の予定」という考えが表されています。神が以前から「ご計画」なさり、その救いを人間一人一人の人生において、実現してくださるのであります。「召される」というのは、神が予定された救いを与える為に、歴史的な働きかけ、呼びかけをされることであります。「万事が益となるように共に働く」という場合の「万事」は、18節に出てくる「現在の苦しみ」のすべてのことだと思われます。それは、具体的には後の35節から39節に列挙されているような苦難や滅びであります。被造物と人間はそれによってうめきくるしんでいうのですが、神はそれら全てを摂理の御手を動かして、究極の救いと光栄へと導かれてゆかれるのであります。8・29~30ここに神の救いのご計画が「救いの秩序」として示されています。
人間の救いは、「予知」、「予定」「召し出し」「義認」「栄光」という順序を踏んで実現するのであります。私達は「現在の苦しみ」の歴史の中で、神の救いのご計画を読み取り、希望が与えられ、それゆえ忍耐をもって前進するものであります。最後に私の証をさせて下さい。5~10分以内です。時間がなければ割愛します。お祈りします。