2023/6/18  週報メッセージ

「まさにこの人こそ」(七つのしるし④

                       (ルカ 6:1-15)

 

7つのしるしの4番目は、「五つのパンと二匹の魚」の物語です。この物語は4つの福音書すべてに登場する重要な物語です。

五千人の給食のしるしはどこでなされたのでしょう。共感福音書(マタイ・マルコ、ルカ)によれば「人里離れた所」であり、ヨハネによれば「山」でありました。「人里離れた所」とは、原語では「荒野」(エレーモス)です。主イエスが洗礼後、サタンの誘惑を受けられたところです。聖書のいう「荒野」とは、単なる自然の荒れ地をいうのではなく、「人に頼ることのできない、神にしか頼ることのできない場所」を意味しています。現代の私たちも、人に依存しない、神にのみ依存せざるを得ない「荒野」に立っていることを自覚したいものです。これは信仰の第一歩です。

この物語では主の弟子たちの不信仰が問われました。フィリポは、五千人以上のパンをまかなう店も、それを買う金もない(7)…、アンデレもたった五つのパンと二匹の魚ぐらいでは、焼け石に水だ…と思いました(10)。これは私たちの「見える世界」の合理的(常識的)な判断です。見える世界に支配されている人々は、その解決を見える方法の中に見出そうとします。しかしイエスのとられた方法は、「ことば」でした。ベトザタの池で38年間病気だった人を、王の役人の子どもを、癒やされたのは主のおことばによるものでした。

人々は、この大きなしるしを見て、イエスを何者ととらえたかがこの物語のテーマなのです。 人々はイエスを預言者だ(14)といい、政治的な王、民を満腹させてくれるメシヤに立てようとしました。人々はポイントがずれ、イエスを正しくとらえることはできませんでした。ヨハネは力説します。まさにこの人こそ、メシヤ、救い主である…と。

(6/11 山本修一師説教から)