2022/1/9 週報メッセージ

Ⅰペトロの手紙を通して

朝位 真士 

 まずこの手紙全体の内容を見ていきましょう。この手紙は、周囲の人々(異教徒)から様々な迫害を受けている信仰者を慰め、信仰に固く立つよう励ます目的で執筆されています。そのため、まず1:3~2:10では、キリスト教信仰の基盤となる「救い」について解説し、その「救い」を読者に確信させようとします。次に、2:11~4:7では、その「救い」を望みつつ、異教徒に囲まれたこの世の生活をどのように過ごすべきかが説かれています。4:8からは、書簡の結びとして、一連の勧告がなされます。そこでは、教会内部の結束と、迫害に対する忍耐が主題となっています。当時のローマ帝国による組織的弾圧を反映しているといわれますが、むしろ新興宗教であるキリスト教信者に対する、周囲の異教徒からのより一般的・日常的な迫害が問題となっています。

 この手紙の著者はペトロで、おもに小アジアに散在していたユダヤ人信者にあてて、シルアノに託して送られました。多分バビロンから出されたものと思われます(5:12~13)。当時まさに到来しようとしていた火のような大迫害を前にして、彼らの信仰を堅固にし、励まし、慰める為に記されたものです(1:6~7)。またペトロが異邦人信者に向かって記したことも明らかです(4:3)。年代は紀元60~70年頃ではないかといわれています。

 私は数年前にも一度、ペトロの手紙を学びましたが、今はまさにこの世的な様々な魅力があり、信者でもこの世の誘惑や魅力に負けて、信仰の成長が妨げられる時代です。また、コロナウイルス・パンデミックの状況で、真面目な信者達も礼拝や集会に出ることを中断させられ、宣教活動や教会形成が難しい大きな試練の時代です。ペトロの手紙は、信者として、求道者として、どうあるべきかを大変具体的に示唆していると思います。一番良時期に、このⅠペトロ、Ⅱペトロの手紙が与えられたことを神様に感謝したいと思います。