2016/12/11 週報メッセージ

   「きよしこの夜」クリスマスの定番曲
                                                          朝位 真士
 讃美歌一〇九番「きよしこの夜」の作詞者、ヨゼフ・モールがオーストリアのザルツブルク近郊にあるオーベルンドルフ村の助祭だった一八一八年のクリスマスのこと、教会のオルガンが故障しました。オルガニストだったフランツ・グルーバーはヨゼフに讃美歌の作詞を依頼し、自身がその詞に曲をつけ、一日で「きよしこの夜」を作りました。そして聖夜のミサでギターの伴奏で歌いました。
 以上が「きよしこの夜」誕生にまつわる定説です。しかし近年、賛美歌研究家の川端純四郎氏の調査により、ヨゼフがこの歌詞を作ったのは一八一六年で、場所もマリアプファルという別の村の教会だったことがわかりました。ヨゼフの母は貧しい裁縫師で、彼女が生んだ四人の子どもたちは全員父親が違いました。そのような境遇の中でもヨゼフは聖職者を志し、聖歌隊活動にも加わって音楽的素養を磨いたのでした。原詞は六節まであり、最後の節には「静かな夜、聖なる夜、神は長きにわたって私たちを心にかけ、その怒りから私たちをときはなち、世界のすべての民を保護し、いたわると約束された」とあり、ナポレオン戦争(一八〇三~一五年)によって疲弊した社会に神の平和を約束したのでした。オーベルンドルフの教会堂は今では「きよしこの夜礼拝堂」と呼ばれ、クリスマスには世界中から多くの人が集まって「きよしこの夜」を歌います。
 信徒の友一二月号の愛唱讃美歌選に記載されていた内容ですが、私はこの「きよしこの夜」をクリスマス・シーズンに歌うことにまた特別な思いをもちました。特に「神は長きにわたって私たちを心にかけ、その怒りから私たちをときはなち、世界のすべての民を保護し、いたわると約束された」とあるのは、主イエス・キリストのご降誕は全人類の罪の身代わりとして十字架にかかり、三日目に復活されるためであったという、今まさに時期を得たグッド・ニュースであります。