牧会雑感
朝位 真士
「愛は忍耐強い。愛は情け深い。ねたまない。愛は自慢せず、高ぶらない。礼を失せず、自分の利益を求めず、いらだたず、恨みを抱かない。すべてを忍び、すべてを信じ、すべてを望み、すべてに耐える。」(Ⅰコリ13・4~7)
「ヤマアラシのジレンマ」というお話を御存知だと思います。哲学者ショーペンハウアーが記した寓話です。「2匹のヤマアラシが、ある寒い冬の日に、お互いの体温を温め合うために寄り添おうと近づいた。ヤマアラシの体にはとげがついているので近づくと相手を傷つけたり、刺したりしてしまう。しかし離れていては寒い。そこでヤマアラシは適度にお互いを温め合い、適度に傷つけ合う距離を発見した。」このとげというのは、人間がお互いに持っている自己愛、自己中心性です。また精神分析学者フロイトは、この「ヤマアラシのジレンマ」の寓話を引用して、人と人との関わりには常にこうした葛藤と傷つけ合いがあり、この傷つけ合いをどう乗り越えていくかが人間関係の基本だと語っています。
私はこのとげ、自己愛、自己中心性が人間関係において出てくると、人間関係は成立していかないと思います。そこで私が牧師としていつも心掛けているのは、相手との間にいつもイエス・キリストの十字架の愛(キリスト教の最大の教え)を介入させて、人間関係を保持することです。しかし私も弱い人間なので、冷静に判断できずに相手との関係が崩壊する時もあります。その時は冷静になってこちらから謝ることにしています。信者と牧師、信者と信者、未信者と信者との争いがあれば、聖霊の働きを強く求めるように祈っていかなければならないと思います。皆様方も是非お祈りください。主の平和!!