永遠への道
朝位 真士
前号からの続きです。
(二)不可知論(懐疑論)―これは「すべての知識は相対的であるから不確実であって、真の知識と言うべきものは全くない」という説です。理性の力は現象の世界から一歩も外に出ることができないので、超越的な存在である神を肯定できるはずがないと考えます。反面、自然科学者の説く無神論も信頼しません。こういう問題は、人間の力ではしょせん解決できない問題(不可知)であるとあきらめてしまいます。科学の面では「実証主義」の基本的な考え方となっています。それは「実際に観察した事実以外には、何ものも真理として受け入れない」という立場です(オーギュスト・コント)。しかし、アインシュタインの相対性原理は物質的世界の研究においても、時間とか空間という見えないものを考慮に入れなければならないことを示して、実証主義に致命傷を与えました。
(三)唯物論―「心は物質からはなれては真に存在しない物質の随伴現象にすぎないものであり、宇宙に存在するものは、その中にある固有の永遠の法則にしたがって動いている物質のみである」という説です。しかし、物質は永遠ではありません。宇宙には始まりがあって、いわばゼンマイの巻きほぐれつつあるようなものです(崩壊の法則(熱力学第二法則))。次に、物質はそれ自身で物質の起源を説明できません。それは自然の外にある力、すなわち「超自然」的な考察力によって説明されなければなりません。
(四)汎神論―日本における汎神論「存在する全てのものは神であり、神は存在する一切の総計であり、神は人間を含む宇宙の諸事物から離れては存在しない」という説です。神と宇宙とを一体的なものとし、すべての物は神の部分と考えます。(次へ)