2025/2/2 週報メッセージ

無くならない恵み

川﨑 信二 

 主イエスが行われた奇跡。たった5つのパンと2匹の魚で何と5千人の群集(女性と子どもを入れると1万人以上)を満腹にさせるという、度肝を抜く御業をなさったのです。

 パンが増えた?これはミラクル?マジック? でも、<パンを増やした>とか<パンが増えた>とは一言も書かれていません。私たちはどうしてもこの記事を「パンを増やす」話として読む傾向があります。

イエス・キリストは凄い方だぞ!キリスト教は凄い宗教だ、と世に見せつけるために奇跡を行われたのではなく、「大勢の群集を見て、飼い主のいない羊のような有様を深くあわれみ」(34)……つまり目の前で苦しんでいる人を放置できず奇跡を行われた。結果的に奇跡をされたが、これ見よがし、ではない。<増えた>のではなく<無くならない恵み>です。それは、神の愛は変わることなく常に私たちに注がれている、ということです。

 イスラエルが求めていたのは<増える力>でした。ローマ帝国を力でねじ伏せるメシアを求めていました。私たちは世界でキリスト教が力をもって優位に立つことを求めてしまいますが、むしろ、十字架の道を歩まれた主の姿から、身を低くして謙虚に歩む信仰を得させていただきたいものです。神が十字架で死ぬことは最も大きな奇跡です。全能の神が死人を復活させることは簡単ですが、独り子を重罰刑で死なせることは最も辛いことでした。

私たちの罪を赦して救うために十字架という奇跡を成し遂げて下さった主を神として仰いでゆきたいと思います。