「キリストの恵み」 川﨑 理子
エフェソの信徒への手紙1章4〜14節
この手紙の受け取り手は、信仰を与えられている2代目または3代目のキリスト者たちです。同じアジア州にあるガラテヤ教会が問題にした危険性はこの書には出てきません。ガラテヤ教会ではユダヤ人キリスト者による「割礼」の強制や律法のこだわりによる「異なる福音」といった問題が山積していました。
エフェソの一群はガラテヤと同じく使徒パウロの伝道によって成立した教会でしたが、別の危険に直面していました。初期に立てられたガラテヤ教会よりは律法の面では落ち着いていたのですが、時を経て、2代目、3代目の時代に新たな問題が出始めていたのです。
それは、黙示録の言葉にあります。
「あなたは初めの頃の愛から離れてしまった。だから、どこから落ちたかを思い出し、悔い改めて初めの頃の行いに立ち戻れ。」(ヨハネの黙示録2:4〜5)
時と共に初心まで忘れてしまったのです。当時小アジアの各教会は相異なる誤った教えによる分裂が生じていました。それはユダヤ人(内側)の問題よりも外部からの悪影響によるものでした。そのために「初めの愛が冷めて」「礼拝に参加する熱意が弱まり」さらに「生ぬるさ」があふれていました。
そこでパウロは「わたしたちの主イエス・キリストの父である神はほめたたえられますように」⑶ と勧めたのです。
神がどれだけ私たちを祝福してくださったのか。「イエス・キリストによって神の子としてくださった」⑷ 「御子による血の贖いによる罪の赦し」⑺ 「約束された聖霊を受け継ぐ」⑾ 「聖霊で証印」⒀ 「御国の保証」⒁……。数えきれない恵みを頂いているのに「離れて」しまったのです。
レジで「今カードをお作りいただきますとこの商品の割引きと、さらにポイントもつきます」と言われたことがあります。そんな面倒なことをしなくても「神の愛」と「祝福」は一方的に与えられています。全ての人に!
こんな素晴らしい恵みを拒否するなんてもったいない。だから、キリストの「はじめの愛」から離れないで、主をほめたたえつつ歩みましょう! アーメン