2025/3/2 週報メッセージ

新しい神殿  マタイ21:12~17

川﨑 理子 

「イエスは神殿の境内に入り、そこで売り買いをしていた人々を皆追い出し、両替人の台や鳩を売る者の腰掛けを倒された。」⑿

ヨハネ2:15では「イエスは縄で鞭を作り、羊や牛をすべて境内から追い出し、両替人の金をまき散らし、その台を倒し…」とあります。このものすごい剣幕のイエスの姿は私にとって強烈なものでした。この行動の理由は「『わたしの家は、祈りの家と呼ばれるべきである。』ところが、あなたたちはそれを強盗の巣にしている。」⒀との主イエスの言葉からうかがえます。

 強盗の巣とは神殿の敷地で商売をして自分達の利益だけを考えている人達のことです。彼らは「祭司」達と結託して弱者からお金を多めに取って私腹を肥やしていたのです。主の神殿に仕えるはずの祭司が金儲けを優先させていたわけです。しかも、遠方からようやくエルサレムにたどり着いたばかりの礼拝者に水を差しだすどころか、捧げ物のための両替だと言って多額のお金を要求するのです。神殿の精神は腐り、祭司も堕落していました。

「境内では、目の見えない人や足の不自由な人達がそばに寄って来たので、イエスはこれらの人々をいやされた。」(14)さらに「『幼子や乳飲み子の口に、あなたは賛美を歌わせた』という言葉をまだ読んだことがないのか」(16)と言われた主イエスの言動には、当時、神殿から最も遠くに置かれ、祭司たちから差別を受けていた方々にこそ神の愛を届けるべきとの意思がうかがえます。

 神殿に入れない、憐れむべき方々。目の見えない人、足の不自由な人達そして幼い子供たちのすぐ近くにいてくださる主イエス。新しい神殿とは、見える立派な建物のことではなく、主イエスご自身のことです。

私達も神の近くに行く資格のない者ですが、主によって神の御国に入れてもらえるようになったのです。後にエルサレム神殿はローマ軍によって破壊されます。

主はそのお身体を十字架に明け渡し処刑されます。この方こそ清い、生ける神殿なのです。私達を罪から清め贖うために、差別を受け苦しんでいる人達を救うために、十字架への道をお独りで歩み始められたのです。わが心に主の愛を宿しましょう。